顕微授精は、体外受精を行っても受精できない患者さんに対して行われる治療法です。
ところが、顕微授精を行っても受精しないケースがあるのです。そのような場合、卵子活性化を行うと受精する事が多くみられ、また実際に卵子活性化を行ってみると、それまでの治療法に比べて、受精卵のグレードがよくなる事がわかってきましたので、最近注目されている治療法なのです。

この様に注目を集めている処理法ですが、当院では、事前にARTを行う患者さんに説明をし、検討して頂いております。そして、実際にこの治療が適応となる卵が採取された場合には再度説明を行い、ご希望をお伺いしております。
これは
未成熟卵の体外培養(IVMに関しても同様です。


排卵された成熟卵子(MU)に先体反応を済ませた精子が接着すると、精子から卵子活性化因子であるsperm factor(PLCζ)が移行します。PLCζはフォスファチジルイノトシール2リン酸(PIP2)をジアシルグリセロール(DG)とイノシトール3リン酸(InsP3)に加水分解します。DGは卵表層顆粒を放出して透明体を生化学的・構造的変化を引き起こし多精子受精を防止します。
一方、InsP3は粗面小胞体のレセプターに結合して粗面小胞体に蓄えられたカルシウムイオンを放出させ、卵細胞全体に伝搬します。
卵細胞内に放出されたカルシウムイオンは、再び粗面小胞体内に回収され、そしてまた放出・回収が繰り返されるため、カルシウムイオンの周期的な増加反応(カルシウムオシレーション)が発生します。
卵細胞内のカルシウムイオンの上昇は、ユビキチン、サイクリンBを介してmaturation-promoting factor(MPF)を失活させることにより、第二減数分裂中期(metaphaseU:MU)で止まっていた分裂を再開させます。このことを卵子活性化といいます。

顕微授精の場面では、先体反応を済ませた精子をMU期卵に注入するわけで、卵細胞質内に移行したPLCζがその後の反応を誘発します。
一方、顕微授精を行っても受精しないケースでは精子のPLCζが不足していたり欠如している為に、これら一連の反応が起こらないと考えられます。このような患者さんには、顕微授精後にカルシウムイオノフォア処理をすると細胞外のカルシウムが細胞内に移動してカルシウムイオン濃度が上昇します。そして卵子の活性化に繋がります。
卵子の活性化は肉眼では確認できませんが、MU期卵子が活性化されると第二極体が放出され、雌雄前核が形成されます。実際にはこれらの現象を顕微鏡で確認して「卵子活性化」と理解します。
  

 
 



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